Photo by:Fumiya Takahashi
柳戸陽子(やなぎどようこ)さんが運営する、埼玉県飯能市にある『ワンコイン健康教室すらっと』。開業から18年が経過し、同スタジオはストレッチ、パントマイム、ジャズダンスなどを教えています。
また、イベント企画、プロデュース、講演会の講師とマルチに働く柳戸さん。
『これだけ幅広く仕事できるのはきっと、特別な人だから…』そう、感じる方もいそうですが、その裏にはたくさんの好奇心があったからこそ。
昨今では、『好きなことを仕事にしよう――』という言葉が流行。シンプルな興味が『完璧にやらなくちゃ』、『仕事に繋げないと…』と、いつのまにか興味のハードルを上げてるかも知れません!
【柳戸陽子(やなぎどようこ)】『ワンコイン健康教室すらっと』運営以外にも、朗読会・演劇公演の企画運営、舞台のプロデュースを手掛ける。Youtubeでは飯能市に関する映像を投稿。Photo by:柳戸さんご提供(絵本朗読会にて)
好きを仕事にした18歳
――先日は動画撮影ありがとうございました!『すらっと』のお話を伺う前に、20代は”舞台女優”だったそうですね!?
柳戸 そうだったんですよ!(笑)
小学生の頃、夢を聞かれたら『小説家か演出家になりたい』と言ってました。
高校入学したときに演劇部に入部。卒業後は『手に職を』と思い、オペレーターの専門学校に通いながら劇団にも所属していました!
とは言え、自分の好きを優先して劇団に入団したんですけどね(笑)
28歳のとき、結婚などをきっかけに舞台生活を退きました。それまでは、学校公演がメインの劇団に所属して日本中を飛び回ってはショーに出演したり、『ひらけ!ポンキッキ』関係の仕事もしていましたね。
『ひらけ!ポンキッキ』出演時代。ムックとのツーショット Photo by:柳戸さんご提供
”気軽さ”という魅力
――まさかのご経歴でした...!その後、子育てや家事に奮闘しながらも、2003年『ワンコイン健康教室すらっと』を開業。なぜ、健康分野を次のステージに?
柳戸 出産してから10キロ太っちゃいまして(笑)
『気軽に気楽に運動できるところないかな?』と思い、探したのですが、今みたいに近所にフィットネスクラブとかも無く、通おうにも入会金や申し込みが必要な所が多くて…。
舞台役者を目指す人たちにストレッチや運動を指導してた経験があったので、『ワンコインでレッスンを行えば自分も運動できるし良いかも!』と思って立ち上げることにしました(笑)
なので、『入会金・年会費無し』辞めるとなっても退会書類的なのもありません。ふらっと立ち寄れる気軽さが魅力のひとつでもあります。
最初は知人のスタジオを借りてやっていたのですが、ババッと広がっていったのを今でも覚えています!
スタジオの外観と内観 Photo by:Fumiya Takahashi
誰とも話さない日がある
――撮影当日は、シルバー世代の方が多く利用されていました。『笑顔に、そして健康に』というコンセプトに加え、『すらっと』はどんな場所なのでしょうか?
柳戸 外に出る理由のひとつ。そんな場所になってほしいんです。
ここ、飯能市も高齢化が進む地域。一人暮らしをする生徒さんも多く、一週間話さない事もザラなんですよね。ましてや外出するのも銀行や病院と決まった場所。
そうした日常に『すらっと』に来ることで変化が生まれる。鏡を見て、お化粧をする。服を着て靴を履く――。
何気ない意識や行動が脳に刺激を与え、活力が生まれる。実はそこから運動は始まっているんです。
デイサービスでの運動指導の様子。Phot by:柳戸さんご提供
”好きな事”と”苦労”の解釈
――人生ストーリーを伺っていると『興味や好きに対する姿』が非常に印象的です。今でいう『好きを仕事に』を体現。舞台女優時代まで遡って”好きと仕事”にフォーカスを当てたいです!
柳戸 そうですね…。正直、学生時代は勉強もスポーツも苦手でした(笑)
ただ、大人になってから自分の興味、好きな事を学ぶのは勉強とは全く違う感覚。むしろ楽しいこと。その感覚を知ってから、より物事にチャレンジしていた気がします。
『お芝居をしながら、アルバイト生活は大変苦労されたんですね?』とたまに言われますが、『えっ?好きだから苦じゃないですよ?』と常々思います。
世の中、好きな事さえもできない人がたくさんいらっしゃいますもんね。
20代の頃。青い衣装を着るのが柳戸さん。男役を演じた際の一枚 Photo by:柳戸さんご提供
やってみたらいいのに…!
――努力は夢中には勝てませんね!とは言え、継続的に好きや興味をを仕事に繋げられるのは『柳戸さんだから…』という意見も聞こえてきます!
柳戸 それも言われますが、『あなたにもできますよ!』と本当に思っています。
もちろん、最終的に収入を得られればラッキーですが、やってみて損はない。私も興味のすべてが仕事に繋がったわけではないです(笑)。その中で残った物が生活の支えとなっています。
最初から大きな夢を目指すと行動できないですけど、目の前の小さなことからやってみる。すると、『やってみたいのに!』というモヤモヤも解消される。
ワークショップでの絵本の読み聞かせ Photo by:柳戸さんご提供
楽しんでいると出会いがある
――自らハードル上げてしまい、行動に移せない。”楽しむ”ことを忘れてしまう人もいらっしゃいそうですね…
柳戸 たしかにそうかも知れませんね…。私、バリ島が好きなんですね。インドネシア語も生活レベル程度は話せます。
学ぼう!と思ったときは子育て真っただ中。そんな時に『私、バリで語学留学してきます!』っていうのはさすがに無理じゃないですか(笑)
けど、子どもたちが寝たあとに勉強することはできる。最初から完璧を目指すのじゃなく、やりたい事をやりたい大きさでやればいいと思うんです。
入間市の「アミーゴ」で行ったひとり芝居。脚本・演出からすべてひとりで制作。 Photo by:柳戸さんご提供
――できることから少しづつ。たしかに大事な心構えかも知れません!
柳戸 インドネシア好きが転じて、『じゃマール』という雑誌をきっかけに、インドネシア好きの人たちと情報交換を始め、会報を作ったりしていました。そのうち月に1回池袋で交流会がスタート。気づけば15年間続いていました(笑)
シンプルに楽しみたい。という気持ちがあれば、多様な出会いがある。それだけでも人生を幸せにしてくれますよね!
www.youtube.com 撮影したPR動画
コンプレックス
――過去のエピソードをお聞きしても、やはり『なんでもできる柳戸さん』という印象が強いです(笑)。
柳戸 私も皆さん同様にコンプレックスはありますよ!?(笑)。ただ、解消できるものは解消するタイプかも知れません。
役者時代の話ですが、皆で集まるとNYのブロードウェイの話題も挙がるんですよね。『あの舞台良かったよね!』とか。でも、私行ったことないから心臓がキュッとなるんです(笑)。
あの感覚って知らない孤独感と同時にちょっと悔しさもあるじゃないですか?
それで、お金を貯めてNYに11日間滞在、ブロードウェイで14本観劇。帰国後は話せる充実感、経験から得られた物事に対する余裕も生まれる。
容姿にもコンプレックスがあったので50歳を過ぎて歯列矯正をしたり。周囲には驚かれましたが、自分が気になってるんだから仕方がない(笑)
すべてを克服できませんが、きっと自分のことを好きな自分でいたいのかも知れません。だから、興味があることもパパッと始めるんだと思います。
NY滞在中の様子 Photo by:柳戸さんご提供
夢物語が現実に
――色々なチャレンジがあってこその人生。例え、興味が仕事に繋がらなくても、未来には面白い展開が待っている。今をどう生きるかですね!
柳戸 こうして話していると、舞台時代の頃の会話を思い出しました。
『将来の夢とかある?』と聞かれたとき『スナックを開いて、店の端っこにステージを置いてショーができたらいいな』と、答えたんですね。
友達からは『そんなの無理でしょー?』と言われたんですけど、気づけばスタジオを持っていました。
スナックではないけれど、色々な方の健康のサポートをしたり、地域の方と共に繋がって生きている。
目標を叶えるのに『絶対無理』ということは無いんだなぁと感じます。
なみやなぎスタジオ「Wソロ公演」にて、企画・出演を行ったときの様子 Photo by:柳戸さんご提供
――柳戸さんの人生における無数の点が線となった『ワンコイン健康教室すらっと』。さいごに今後、ご自身の人生をどう過ごしていきたいですか?
柳戸 お客様からの『ありがとう』の言葉を頂いて、サービスの向上を続けてきました。もうすぐ20年が経ちますが、その想いは今も変わらないです!
増税するたびに、生徒さんからは『ワンコインで大丈夫ですか?』と心配のお声も頂きましたが、小心者なので値段は上げられず(笑)
将来ですか…それは希望ってことですよね?(笑)
私、暖かいところが好きだから、将来は常夏の国で暮らしたくて(笑)。正直なことを言えば、綺麗な海を眺めながら、朝から晩までビールを飲んでボケーッと横になって過ごしたい(笑)
これじゃ締まらないですか?(笑)
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