書道×ビーズ作品、親子で付けられるリンクアクセサリーなどの販売をしている草場萌(くさばもえ)さん。もちろん、書は直筆で、散りばめられたビーズも草場さんの感性によって。
今までに見たことのない作品で、思わず『学校の先生が見たら怒るのかな?』なんて思ってしまいました(笑)
これからはお客様ご自身で筆を取り、ビーズを飾り付けて頂けるサービスの展開を考えているそう。
「文字は決して”上手い下手”じゃないと思うんです。その人にしか書けない字があって、そこに想いが乗っている。全ての字に”アートの側面”があると信じています」
文字を書く、見る機会すらもスマホがほとんど。そんな方も多いのではないでしょうか?ましてや、筆を持つなんて…。
書道×ビーズの新体験。親子で味わってみてはいかがでしょうか?
”書くだけ”が書道じゃない
――初めて作品を拝見した時、自分の固定観念を良い意味で覆されました(笑)。書道は小さい頃から習っていらっしゃったんですか?
草場 母も昔、書道を嗜んでいたことから、私も幼稚園の時から高校生になるまで習っていました。当然、書道で身を立てていくことは全く想像していませんでした(笑)
ひとつの形になったのが大学生時代。留学生も多い環境で、書道に興味を持つ子たちがいましたが、書道部はありませんでした。
『よし、彼らのために立ち上げてみよう!』と、発足に動き出しました!
――部の立ち上げ。「留学生のために」とはいえ、バイタリティが無いとできないことですね…!
草場 活動当初は作品をキャンパス内の廊下に展示するだけのものだったのが、徐々にキャンパス内からも反響が。
当時は「書道ガール」が流行っていた頃。大学のイベントで大きな筆を持って、書を披露したこともありました!スケールが大きくなっていくことも充実さに繋がりましたね。
なにより、国際生徒と混ざりながら、イベントに向けて練習をする。書道が人と人を繋げるツールになること。そして、字そのものが人を魅了する。そんな、アートの要素に面白さを感じていたのかも知れません。
【Profile】”ビーズグラフィー作家”草場萌(くさばもえ)1988年11月生まれ 香川県出身。幼少期の頃から書道を習い始める。立命館アジア太平洋大学卒業後、就職。出産をきっかけに命名書の販売をスタート。親子で付けられるアクセサリー、書道×ビーズ作品の販売。埼玉県狭山市を中心に親子で参加できるワークショップを開催
記念すべき瞬間、より特別に
――大学ご卒業後は企業に就職し、ご結婚。現在ではふたりのお子さんに恵まれてもいます。なぜ、書道を再び始めることに?
草場 勤めていた会社のイベントで書を書く機会があり『書くのって楽しいな~』と、改めて書道の楽しさに触れて家で書くことを再開しました。
ぼんやりと、『書道でなにかができたらな』と考えた矢先、長男が誕生。第一子を授かった喜びは今でも鮮明に覚えています。
その際、命名書を書いたとき、『ご自身で筆を取るのは苦手でも、記念すべき瞬間を形に残したい人がいるのでは?』と考え、ミンネでシンプルな命名書のネット販売を始めました。
親子で付けられる、リンクアクセサリーも制作。
「子どものアクセサリーは結構華やか。『一緒につけたい!』と、言われても抵抗あるので、親目線からつくったアクセサリーを作っています」
価値をどう高めていくのか
――趣味としての書道が、お客様に喜んでもらえるものとなりました。その当時の心境の変化。お金を頂く中での葛藤は覚えていらっしゃいますか?
草場 ネット出品時に写真も見本として掲載します。その字体からお客様も「きっとこういう字が届くだろう」と、想像しているはず。
しかし、手元に届いたとき「あれっ、なんか見本と違うな…」と、ならないよう何枚も何枚も書いては悩み…。販売当初は常に不安だったのを覚えています。
――すべてご自身で決めていくため悩みは尽きないですよね…。
草場 値段設定も難しかったです。調べれば調べる程、安価な作品がたくさん出てきます…。『低価格に合わせようか…』と考えたこともありましたが、価値が大事だと再認識する出来事がありました。
ネット販売をスタートして、初めて注文してくれたお客様が、昨年二人目のお子さんがご誕生した際、再度注文してくれたのです。注文当時の価格よりも、若干の価格改定を行っていたのですが。
多くの方にご注文を頂き、試行錯誤を積み重ね、今では「この丸い字体が好き」、「優しい雰囲気が出てる」と、お言葉を頂くようにもなりました。
お一人、お一人のお客様に向き合い、スキルや魅せ方を練り上げていく。価値を高めることが大事なんだなって改めて気付きました。
ワークショップの様子
字から想いを組みとる
――始めはシンプルな命名書でしたが、現在はビーズと組み合わせたものも制作されています。どこから着想を得られたのでしょうか?
草場 ビーズも昔から好きで、小さい頃に集めたものを大人になるまで捨てずに持っていました(笑)。
ある日、自分で書いた書にビーズをパラパラ撒いてみました。思いの外、綺麗で自分でも驚きフェイスブックにあげてみたんです。そしたら、友達からも反響があって。
文字だけでは、その想いも伝えることは中々難しい。ビーズを付け足すことで、その文字の意味、お子さんが持つ雰囲気も表現できる可能性を感じました。
お客様にヒアリングをさせて頂き、ビーズの色や作る形をデザインする。書がより立体的な物に仕上がりました。
名前以外も、”絆”や”ありがとう”など、言葉の作品も制作。
「楷書でやるべきなのか、崩してやるべきなのか。その判断が難しいですよね。それだけで伝わる意味も変わってきます。お客様の想いに寄り添いながらお作りしています」
自分の名前が”アート”に
――堅い印象がある命名書。自分の名前にビーズが装飾されることで、お子さん自身もより愛着が湧いてくれそうですね!
草場 命名書は産まれた時に飾って、時間が経つとしまってしまう物。そんなイメージがあると思うんです。
名前は「親から子への一番最初のプレゼント」と言われるように尊いもの。『インテリアとしてもお使いいただけるように』と考え、今の形になりました。
小さい額に入れ、華やかに装飾することで末永く置いておける。リビングや、壁に掛けたりすれば、子どもたちもいつでも見られる。「あっ、僕に/私こういう名前を付けてくれたんだな」って、視覚的にも思い返せる。
書道を身近に
――これまでは萌さんがお作りした作品の販売及び、受注制作がメインでした。今後はどのような展開をお考えなのでしょうか?
草場 『お客様が自由に。そして、思いを形にできるのが素敵だな』と思い、ワークショップを開催し始めました。
書く文字の角度、ビーズ選択、色のチョイス。どの要素を取っても、その人ご自身が作品に現れます。それを受け取った方にとっても、表現された作品から何かを感じ取ってくれると思うんです。
既にワークショップを何度か開催させて頂いておりますが、毎回私には無い感性を目の当たりにするので、驚きと発見の連続です。特に、子どもの感性はやっぱり素敵でよねぇ。
しめ縄に迎春と書いてビーズを装飾した作品。「書道の恩師にこの作品をお送りした際、書道教室の生徒さんが『書道にこんな可能性があるんだ』と、言っていたことに感動しました」
あなたにしか書けない字がある
――「書くの恥ずかしい」と思う方もいらっしゃる気が…。
草場 正直、私も上手いかと言ったらどうなんでしょうか…。書道の先生からしたら決して「上手い」とは言えないのかも知れません。
それでも、さっきお伝えしたように私の字が好きだと言ってくださる方がいらっしゃいます。上手い下手を超越したアートの側面というか。
すべての人にその人にしか書けない字がある。一番は思いがこもっていることが大事なんだと思うんです。
もちろん、中には書くのに抵抗がある方もいらっしゃると思います。その際は、私が代筆しますので、ご安心ください!
さいご
――本日はありがとうございました!それでは今後に関してお聞かせください!
草場 継続的にワークショップを開催していきたいと思っています。また、私自身、書道のスキルアップや、書き方を伝える技術を上達させて、いつか子ども達に書道教室を開けたらとも考えています。
これからも、お子さんの名前や大事にしている言葉などの作品づくりを通して、”飾れる書道”を広めていきたいです。堅苦しいイメージがある書道ですが、皆様の身近なものとして昇華できればという思いです。
※書とビーズの創作物「beadsgraphy」は、草場萌の創意による表現技法であり、著作権法で保護されています。
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carpediem運営者:高橋郁弥(Takahashi Fumiya)
2018年よりインタビュー記事をスタート。
個人事業主の方を中心に、なぜその仕事を始めたのか。
どんな想いを込めているのかをインタビューさせて頂いています。