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工業高校卒業から美容師7年目になって思うこと 小山悦宏(26)美容師

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■工業高校電気科卒業から美容師になる

 同じ工業高校、電気科に所属し2年間を共に同じ教室で過ごした。卒業後は学年でただ一人、美容専門学校に進学。現在は戸田で美容師を続けている。高校時代は聞くことがなかった美容師を目指した理由と仕事の想いを聞いた。

 

■2社目の会社で美容師兼副店長

 美容師7年目でスタイリスト。(お客さんの髪の毛をカットする人)高校卒業後は、池袋の美容学校へ進学。国家資格を取得し卒業後は美容室に就職。ヘアーアシスタント(髪を洗ったり、お客さんの髪を切ること以外の業務をする人)となる。様々な業務を経て2年目でスタイリストになった。しかし、残業代が出ないことから会社を辞め、現在は埼玉県、戸田市の美容室で働いてる。お店は昨年オープンし、副店長を勤めながらお客様のカット、お店のブログをアップ、店内業務を行っている。美容師になりたいと思った理由は高校一年生から。木村拓哉が主演のドラマ『ビューティフルライフ』を見て髪を切る姿がかっこいいと思ったからだ。

 

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JR戸田駅、徒歩8分に位置する美容室A’beellire(アッべリーレ)。スタッフ4名ながら様々な層のお客様に親しまれている。


■頻繁にある頭髪検査

 高校は校則が厳しかった。電気科、機械科、電子機械科の3つのコースがある。授業の一環で実習授業があり、一部紹介すると電気科では、特別な装置を使って雷を発生させ、その時の電流を計測。機械科では研磨、加工など鉄を切るような機械を使っての授業があった。その際に髪の毛が邪魔になる。ということから、男子は前髪は眉毛より上、耳に髪がかかってはいけない、襟足はシャツの襟よりも上というルールだった。3か月に一回は廊下に並び、生徒指導の先生の前で髪型チェックをされた。高校3年生になると、先生も緩くなるが、それまでは少しでも長ければ次の日また再検査。という具合だった。なんとか髪を伸ばそうと毎回校則ギリギリの長さで検査していたのを今でも覚えている。

 3年の三者面談で親にはじめて美容師になりたいことを告げた。「あんた美容師になりたいの?」と驚かれたそうだ。そうして、進学を決め卒業式の日には金髪の上から1日染めの黒のスプレーを髪に吹きかけ登校。担任からは「お前今日ぐらいどうにかしてこいよ。」と言われたそうだ。卒業式にも無事出席し卒業した。

 

■美容師ー辞める人と辞めない人

 美容専門学校の友人達など30人卒業して10人も現在美容師を続けている人がいないそうだ。スタイリストになれても1、2年で退職する人も多く。その後、男性は営業職や不動産、職人など様々。女性は美容でもネイルやマツエク、接客業に進む人たちもいる。主な辞める理由としては、人間関係、手荒れ、立ち仕事が影響して腰痛の発症があるそうだ。中でも都内で辞める人は多く、地方の人の方があまり辞めてないと話す。「それでも、3年続けたら辞める人はいないんじゃない。」とのことだった。

 スタイリストになって数年の頃は営業時間後に残って練習をし、一日の最初のご飯が日を跨ぐ日も多く、食生活や睡眠も不規則になったようだ。 

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店内風景。落ち着いた雰囲気でプライベート空間を重視。


■新潟から来てくれるお客さん

 日々のやりがいはカットした後に、「自分の理想の髪型です。と言ってもらえることや、次も来店してくれた時にお客様から前回の髪型良か

ったよ。と言われることかな。」

 また、彼に切ってほしいお客さんもいる。遠い人だと新潟から訪れる人もいる。その人は、関東での出張が多く、2、3か月に1回来店している。思い入れも強く、スタイリストに成り立ての2、3人目のお客様だった。「わざわざ、遠くから来てくれるからね。嬉しいよ。」 

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笑った時の横顔をパシャリ。


 ■お客様の髪を切るときに大事にしていること

 もちろん、プロとしてお金をもらう以上、最良の仕事を心掛けるがお客さんの要望によっては、難しいのも時にあるという。「外人の写真を見せられるとイメージと異なることもある。日本人と外人だと、頭の形と顔立ちで違うから変わってくる。でも、そこにやりがいがある。」また、女性のロングヘアーをばっさり切る時も、「本当にこんな切っていいのかな?と思うことはある。めっちゃイメチェンしたけど、いいかな?と思うけど、イメージに合うようにカットし、その髪型に納得してくれたらまた来店してくれる。」

 真っすぐに髪の毛を切るのも最初は苦労するそうだ。人の頭の形は様々で左右対称になるように切るのも困難。 また、スタイリストになった最初のお客さんはお金も貰うしとても緊張したようで。当たり前だが一人で切る。横に先輩が付いてくれるわけではなく、要望等を受けて自分の腕一本で仕上げる。「スタイリストなりたての時は自分のスキルと、先輩の見様見真似でやっていた。あとはお客さんとカウンセリングしながら。」

 

■ハサミのあれこれ

 商売道具として欠かせないハサミを今回見せてもらった。まじまじと見ることは無く種類が豊富なのも面白かった。使うハサミの数え方は1丁、2丁・・・と数える。すきばさみ一個取っても、一回のカットですける量のパーセンテージもあり、10%、20%と数値がある。1丁15万円するそうでそれを4、5本所有している。実際切る際には要望の写真を見て自分の頭の中で立体図をイメージして切る順番を考える。お客様のイメージを自分の想像力とスキルを掛け合わせて仕上げるところは職人と言える。

 

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使用しているハサミ。左側:髪を切るときに使うもの。右側:髪をすくときに使うもの。どちらも10万円程。


■自分にとって働きやすいスタイルを見つける

 一般的に7年やっていれば店長になったり、自分でお店を出す人たちも多い業界。現在のところは入社してまだ一年。まだまだ、今の場所で続けていくそうだ。彼の性格上、上に立つよりも下で自由でやっていくのが自分に合っていると話す。「上司から直接指示を1つ1つ出されて動くよりも、一定のルールの中で自由にやりたい。なにかしらの土台がある場で仕事しているのが性に合ってる。もしお店を出すとしても自分のお客さんをつけてからかな。」

 

■さいごー習ってきたこととまったく違うことを選択しても良い

 当時は互いに学生で10代。将来こうなろう!のような話をするのはどこか恥ずかしく、とりあえずその瞬間を楽しもうよ。というのが学生。卒業から9年経ち互いにそれなりの経験や浮き沈みを味わったからこそ、高校時代から現在までのことが聞けた。工業高校からなんで美容師?と当時は少なからず思ったが、自分がやりたい。と思ったことをそれまで学んだ環境や知識を180度方向を変えて進路を選択した決断力はすごいと思う。

 その方向転換に年齢は関係ないと感じる。なぜなら、私も過去に趣味として文章を書く、人の話を文字に起こして公開する。ということはしていないからだ。全く違うことをいくつになっても始めることができる。私は今年で27歳で未熟だが、彼が18歳の時に美容師を目指した姿が、どこか私と重なる気がした。