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『あなたの人生を記録する』

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心躍る場所と癒し。コンプレックスを抱いてきたロックンローラー 野崎聡人(26) フリーター/バンド

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第一印象、”昭和のような雰囲気”

  大学時代の同級生。1年生の時から、彼を知っていた。髪が長く、醸し出す雰囲気が独特だった。自分の人生の中でも接点がない人種で、どこか人を寄せ付けないオーラがあった。

 授業やゼミで被ることなく、3年生の英語の授業で初めて会話をした。その頃には、洋服も落ち着き、どこか身に纏っていた何かがそぎ落とされていた。

 大学時代からバンドサークルに所属しており、卒業以降もバンド活動をしていることは、フェイスブックやインスタグラムを通じて知っていた。

 今回のインタビューを通じて、音楽を純粋に好きだった幼少期から、大人になるに連れての音楽の世界観やバンド活動に迫った。

 

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大学生時代の写真。


初のギターは小学校6年生

 出身は新潟県。その後、父親の仕事で埼玉県、群馬県の小学校に転校。小学校5年生から故郷、新潟県に戻る。昔から音楽は好きで、GLAYやB’zをよく聴いていた。そして、小学校6年生のクリスマスプレゼントでギターを手にする。「はじめてギターをもらったときは、”これがギターか!”と唸った。ギターを始めた理由は、”神のお告げ”とかっこを付けたくてまわりに言っていた。(笑)」ギターを手にし、純粋に喜んだ少年は音楽にどっぷりハマるとは、想像もしていなかっただろう。

 

はじめてのバンド結成

 中学校は吹奏楽部で、チューバを演奏。その頃になると、沸々とバンドを組んでみたいと思うようになっていた。「中学校2年生の時に、まわりの友達に”ベースをやらないか?”と声をかけ、他にも何人か誘い、楽器を始めさせた。半ば無理矢理バンドを組んだのが最初だった。」

 県内の高校に進学。その学校には軽音楽部や吹奏楽部、合唱部も無かった。学校生活では音楽活動ができないため、校外でバンド活動を続けた。

 

唯一の音楽の成績”4”

 バンド熱が高まっていた高校時代。それまで音楽の成績はずっと”5”だったが、1年生の時に唯一”4”を取ったことがあった。「高校1年生の時、好きな音楽を生徒の前で発表する機会があった。ほとんどの生徒はピアノなど、定番の楽器を使って演奏をしていたが、自分だけはバンドをやりたかった。それが先生には不評で、実際にメンバーを組んで、自分でアンプも持参した。音量もでかいし、煙たがられた。(笑)校歌を歌えれば5を取れると言われていたのに、唯一4になってしまった。(笑)」

 

大学進学と軽音サークル

 父親の仕事の都合上、埼玉県にも持ち家があった。大学進学を期に上京したいと思い、埼玉の家から通える範囲を考え東京国際大学に進学。

 大学では軽音サークルに所属。60人程所属し、ほぼすべてのメンバーとバンドを組んだ。サークルメインで動いていたため、気づけば1、2年は単位を落とし続け、3年と4年で必要単位を取得するべく毎日通い、無事に卒業した。

 

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就職活動で感じた違和感

 一時は就職も考えたが、1か月で就職活動を止めた。「年齢も重ね大人になり、就職するかと考えた。スーツも買ってもらい、就職活動解禁と同時に渋谷の合同説明会に参加した。様々な企業のブースを周り、話を聞きながら、ふと”やる意味あるのかな”と思ってしまった。説明会や、ネットで調べて就職し、働く。というのは自分にとってなにか違うんじゃないかと引っ掛かった。」

 その当時のサークルのメンバーと学校外でもバンド活動をしていた。就職はせず、卒業後はバンド活動とアルバイトで生計を立てることを選択する。

 

バンドの解散とアルバイトの日々

 しかし、卒業早々にバンドは解散。なにをして良いのかわからず、夜勤のアルバイトで働いた。「メンバーとは音楽に関する衝突など、様々な理由で解散となった。夜勤で働きながら生活していたが、疲労困憊で何をやってんだろ。と思うような日々の連続だった。」

 このままでは、バンドも私生活もダメになってしまう。抜け出すために、好きなことをやってみたいと、都内の音楽スタジオで働く。現在もそのスタジオで働き続け、2年半程経過した。それ以外にも、現在はコンビニのアルバイトも掛け持っている。

 

THE VAWVAS(ザ・バウバス)

 バンドは解散してしまうが、ボーカルと2人で活動を続けた。ベースとドラムスが加入しない中、ライヴをしていた時期が1年続いた。今年の4月から人員が揃い本格始動し、5か月程経った。
 「二人体制だが形はどうあれ、続けることを第一優先に動き続けた。やっとの思いで、ベースが今年の4月に加入。ドラムスもサポートとして入ってくれている。今では月3回ライブもしている。ようやく形になって動き出した。」 

 

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現在のバンドは4名。(ギター、ギター、ベース、サポートドラムス。彼はギターを担当)イメージは昔のロックンロールバンド。ビートルズのように全員で歌うスタイル。


ソロ活動”SOUTO”

 メンバーが中々揃わない時期に弾き語りも始めた。「ソロではのひとりで好きなだけ、自分の思い描く音楽がやれると思って始めた。」近々、ソロ活動では2年経つ。毎月企画やイベントを組んで、自分の好きな仲間を呼び、ライブハウスで活動中だ。

 自分の音楽仲間だけでなく、これまでの友人達が一同に介する瞬間が、音楽をやっていて良かったと思う瞬間のひとつ。「庄司や成、大学の友達や音楽を通して、仲良くなった人が来てくれるとすごい熱くなる。熱くなりすぎて、歌詞を忘れてしまうこともあるんだけどね。(笑)」

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 以前、イベントに参加した時のキャッチコピーは”7割失恋ソングーダメな男が綴るどこか懐かしい青春の歌”と題して参加した。「恋愛ソングも歌いながら、最近は年齢の変化もあってか、”ありがとう”を込めた曲が多い。」

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”はじまりはいつも8”と題して、8の付く日にライブをしている。ソロ活動の写真は大学時代に同じバンドで活動していた友人が撮影。 写真:庄司周平

 

 精神までも音楽に飲まれる


 ハマっていた音楽のジャンルによって詩の内容や、着る洋服、趣味も変わって行った。「高校3年生から大学2年生にかけてブルースやロックの世界に惹かれていた。物事に関しても、それはブルースかどうか。と二択で考える程だった。」大学1年生の時は人をナメてたようで、初対面でも嫌われても良いぐらいのマインドだった。
 ロックでトゲトゲしい詩や奇抜なファッションとは裏腹に、今も変わらないひとつの精神に認めてもらいたい。という想いがある。「小学校から高校まで、スポーツも勉強もできない。自分には良いところがない。それ以外にもコンプレックスは今も持ち続けている。認めてもらいたいのは、根本的に変わらない精神かも知れない。」

 

 イメージが形になる快感

 バンドの楽曲作成の時はメンバーとの衝突の連続。生みの苦しさとひたすらに向き合う。その分、個々の主張を織り交ぜながら、イメージしていた物が、出来上がる渦中が快感のひとつとなる。「最初は先入観で楽曲に否定的だったとしても、合わせていくうちに良いものになっていく。自分が良いと思っていたものが、想像と違ったり。否定してたメンバーが良いと感じたり。細かなところまで詰めながら出来上がる段階が一番気持ち良い。」  

 

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上京して以来、はじめての新潟でのライブ。多くの友人が駆け付け、ライブを聞いて涙を流した人もいた。

   

”バンド作り=会社の経営”

 彼が実質的なリーダとして多くの物事を決めていく。バンドの曲作り以外にも、バンドコンセプトの舵も切る。バンド活動はひとつの会社を立ち上げているようなものに近いと彼は感じている。「会社経営と似ていると思う。社長(リーダーである自分)が居て、その中で各々が持つスキルを持ちより、1つの商品(曲)を作る。それをプロモーションや企画を通をしてリースする。」実際に会社を立ち上げたことも無ければ、社長になった経験も無いが、彼の言葉に納得した。

 覚悟と責任を持って楽曲を作成しているからこそ、今はメンバーだから友達という感覚ではく、むしろプライベートは会いたくない。と笑いながら話した。「音楽だけでなく、絵や写真が得意な人を招き、自分たちで多くの事を手掛ければ強い集団となれる。」  

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収録した1曲のPVも、ソロ活動の写真を撮影した彼に手掛けてもらう。


胸躍らせ、楽しませる

 「フリーターでバンドをする時代ではないのは、学生時代から分っていた。でも、小学生からギターを始め、バンドを組むなど、20数年間音楽に捧げてきた。音楽が無くなると自分は何者でも無くなってしまう。」

 バンドが始動してからの4か月は、これまで楽曲やエネルギーを貯めていた分、動きまわった。「年齢も重ね、今が人生で一番大事なタイミング。宣伝材料も無かったため8月はレコーディングをした。」今年の11月22日にはレコ発が控えている。

 「日常の疲れを吹っ飛ばし楽しめる場所でいたい。そのために、CDも作るし、プロモーションもしっかりやる。ロックンロールを通して、人々が胸躍らせるような楽曲をこれからも作っていきたい。」

 

さいごー世間的に?社会的に?いや、己の使命

  私は文章を主に扱い、彼は詩と音楽。彼と同じ立場で考えるのは失礼だが、どこか作り手として似ている所があるかも知れない。私もインタビューをし終え、形になっていく段階が一番快感であり、毎週月曜日にアップできるたときは安堵する。しかし、私は個人。グループで脳内のイメージをすり合わせて形にするのは私とは全く違う苦しみと喜びがあるだろう。

 時代で言えば、バンドをしながらアルバイト生活をしているのはあまり今時とは言えない。ましてや、CDも以前より売れない。周囲からは”今時なにやっているんだろう”と目を向けられることもある。しかし、まわりとはよそに自分の使命に乗っ取って生きる様はロックと言えるだろう。レコ発の時は、東高円寺にあるU.F.O.CLUBに出向き、彼の歌を通して新しいコミュニティが作れたらと思う。

 

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高橋郁弥(26) 毎週月曜日、20時更新。
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