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木材を見極め、届ける 小池悠介(25)木材問屋

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 大学時代の友人である小池悠介(こいけゆうすけ)さん。卒業した今も定期的お酒を飲みに行ったり、電話をしたりする間柄。「今回掲載した人、面白い人生歩んでるね!」など、いつもブログの感想を伝えてくれる。

 

 ご実家は材木屋。祖父が開業し、現在はお父様が経営を担っている。小さなときから木材に囲まれて育った彼は家業を継ぐため修行生として働く日々を過ごしている。

 

 なぜ、実家を継ぐことを決意し、どんな想いで今を生きているのだろうか―――。

 

木材との出会い

―――こうして改めて話すと恥ずかしいね(笑)。今まで聞いたことがなかったけど、どういった幼少期を過ごしてきたの?

 

小池 「実家は材木屋で、住宅兼、職場。仕事内容は木材を見極め、大工さんなどに木を届けるのが主。これでも一応長男(笑)。両親が共働きだったから、小学校の放課後は祖父母の家によく行っていたなー。今思うと、その頃から材木業界に興味はあったかも知れない。『どうやって家は建っているのかな?』とかよく考えてたよ(笑)」

 

父の背中

――小さいときから、木材に触れてきたからこそ、家本来の良さ。みたいなのを感じてきたのかな?

 

小池 「それはあるかも知れない。小さいときはなんとなく見ていた風景だったけど、中学生になって考え方が変わったのを今でもハッキリと覚えてる」

 

 「父親が選定した木材で建った家の住宅完成見学会についていったとき、そこで初めて父親と大工さんが話す様子を見た。なぜ、その木を選定し、どんな思いで木材を届けたのか――。その姿を見て親父の仕事がかっこいいと思った

 

戻る場所があるということ

――高校卒業後は、東京国際大学国際関係学部に入学。大学卒業後は初めから実家を継ぐつもりだったの?

 

小池 「正直、まったく考えていなかったよ。というのも、周囲から『実家の仕事継げば就職活動しなくていいじゃん。戻れるところがあるからいいよね』って言われるのがすげぇ悔しくて…。そう思われるのを見返したくて、自分の足で会社を見つけて働こうと決めて不動産会社に就職したんだ」

 

できない自分

――営業職として採用され同期は60人。新たなスタートはどういったものだった?

 

小池 「人間力の差を痛感した…。任された業務も満足に普通にこなせず、同期に悩みを相談しても、『お前の考えてることはそんなことなの?普通に考えればわかるでしょ』とあしらわれることが多かった。なんとか会社にしがみつくだけの生活だったね…

  

父親からのコトバ

――その頃から夜な夜な電話をするようになった記憶があるな(笑)ただ、そんなときに転機が訪れたそうだね

 

小池 「ある日、父親から『お前はこの先継ぐ気はあるのか』と。急な質問にドキッとしたよね(笑)『ゆくゆくは継ごうと思う』と答えたら、『親の務めとして、取引先を紹介してやる。クヨクヨしてるならそこで働いてみたらどうだ』って言ってくれてさ。その当時の不満を打破したいという思いからやってみるか!と決断した

 

 「結果的に見れば、周囲に言われたように実家を継ぐ選択をしたわけだけど、外の世界を見たことで自分なりに納得感を持って進むことができた

 

修業期間

――今はご実家を継ぐための修行生として色々な部署を経験しているみたいだね!

 

小池 「修行生制度プログラムに属して、入社から2年が経過したよ。全部で3つの部署を経験し材木業界のイロハはもちろん、経営者としての意識や立ち振る舞いも学んでいる途中なんだ」

 

 「今いる部署は木材の販売。国内外の木材を製材所や商社から仕入れて、材木屋さんに販売するのが主な仕事。あと2年弱従事して、予定では28歳で実家に戻り父親が営む材木屋を継ぐ予定になっているよ」

 

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国産ヒノキの原木。ここから柱、フローリング等を製材する。

 

木から伝わる体温

――小さいときから木材に触れ、大学卒業後は不動産。そしてこの先はご実家を継ぐ訳だけど、改めて家、そして木材にハマった理由はなんだったのかな?

 

小池 「そうだなー…。木材の持つ温もりにハマったのかも知れない。特に国産のヒノキや杉を使った家には温もりがある。旅館のヒノキ風呂やサウナもそうだね。肌感覚で木の良さを感じて興味が湧いていったんだよね」

 

 「不動産は既に建った物件を売り、ローンの工面もする。時に営業訪問して追い返されたりする。苦しい中で獲得した契約や、直接お客様と顔を合わせられる喜びもあるかも知れない。一方で実家は配達ありき。供給の立場で大工さんに良い家を建ててもらい、住まいという形でお客さん届けて頂く」

 

 「漠然と想うのは、建った家を見て『ああ、ここの家はうちの材木で建てられた家なんだよな』と実感できるのが幸せなのかもしれない。まだまだ先の話んだけどね(笑)」

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役物と呼ばれる木材。苗木の状態から丁寧に育て上げられた一級品。値段は一枚9000円程。

 

再びのチャレンジ精神

――環境を変えたことで、吹っ切れた感じがあるね!最後にまだ先の話だけど、ご実家を継ぐ意気込みを今のうちに聞きたいな!

 

小池 「少しづつ向上心がついてきた。それだけでも、転職した意味はあったのかなと思う。今年の8月には2つ目の研修プログラムに突入するんだけど、新たなチャレンジが楽しみだよ」

 

 「意気込みかー。(笑)こっ恥ずかしいな(笑)。さっきも話したように実家の仕事は木材の仕入れと配達がメイン。高品質なものを見極めるのはもちろん。大工さんの木材の好みを事前に知るのも大事になる。この先の修業期間でその部分を養う。ただ品物を運ぶだけじゃなく、その家に住むお客様の想いも考えて木材を届けたいな」

 

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地元のバスケットチームに所属。チームではキャプテンを務める。