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「これ以上、妊活で苦しむ人が増えてほしくないんです」――お客様が”命を繋ぐサロン” 『CallaLliy』加藤智子

 

 埼玉県大宮区で女性の体にフォーカスを当てたサロン「CallaLily(カラーリリー)」を運営する加藤智子(かとうともこ)さん。

 

 『ブランディング』や『マーケティング』といった、テクニックが事業の発展に優位性をもたらす昨今。しかし、時代がどれだけ進化しても、サービス提供者の人間性が最後には問われる。

 

 『私は、40歳からセラピストになりました。業界でいったら遅いスタート。コンプレックスを持っていたのは間違いないですね。その弱みが、手と足を動かす原動力になりました』

 

 オープンから現在に至るまで、HPやSNSを使わなかった加藤さん。集客の多くが”口コミ”だったという。

 

 ”命を繋ぐ”がキーワードとなった今回のインタビュー。起業のきっかけ、現在の喜びと苦悩を伺いました――。

 

【PROFILE】加藤智子(かとうともこ)。東京都出身。埼玉県大宮区。30代のときに体調を崩したことをきっかけに女性の身体に興味を持ち、生理や妊活を学び始める。2018年『CallaLily(カラーリリー)』開業。口コミやアメブロの投稿などで、予約が絶えないようになる。2019年大宮駅から徒歩3分のところにお店をオープン。現在に至るまで4,000名様の体の悩みをサポートしてきた。

 

イルカと泳いでいたい

――本日はよろしくお願いいたします!現在のお仕事に至る前に、幼少期のことを聞かせて頂きたいです。育った環境、幼少期の将来の夢はありましたか?

 

加藤 両親と下にふたりの弟がいます。父は働き、母は専業主婦。『旦那は外で働き、妻は家事を担う』という古き良き時代の家庭で育ちました。

 

 小学校から高校まで、イルカの調教師を目指していました!ゆくゆくは水族館で働きたいと考えていたのですが、趣味としてイルカと戯れていたいと思い、短大卒業後は一般企業に入社。

 

 結婚し、旦那もスキューバダイビングが趣味。2人で世界の海に行ってダイビングをしたり、イルカと一緒に泳ぐ生活を過ごしていました。

 

育児に奔走。原因不明の体調不良

――なんと素敵な生活…(笑)。現在はふたりのお子さんを育てるお母さんでもありますね。現在のお仕事を始められたきっかけを伺いたいです!

 

加藤 『母のように』というわけじゃないですが、専業主婦としてとにかく育児に必死だったのを覚えています。

 

 35歳を迎えたある日、体が重い、気分が優れない、といった原因不明の体調不良に襲われました。不摂生な生活をしているつもりも全くなくて、疑問と不安の日々。

 

 そこで、インターネットで体質改善のことを調べると、ひとりの看護師さんを知りました。友人と一緒に”女性の冷え”、”生殖能力”、”生理”といった女性の体の話を聞きに行ったんです。

 

 

生活習慣の見直しと、起業の兆し

――出産と日々の育児。年齢の変化と共に、女性の体は大きな変化があると聞いたことがあります。その際、具体的にはどういった内容を聞かれたのでしょうか?

 

加藤 『体を自然の状態に戻していけば、体の不調を改善することが可能ですよ』と最初に言われました。

 

 21時には就寝する。スマホは18時に電源を切る。ご飯は三食食べて、甘いものは控えるなど。『えっ!?そんなことで?』と思いながらも、素直に1か月間行ったら、不調が改善されたんです。

 

 なにかを購入することでもなく、新たななにかを取り入れるわけじゃない。日常の意識で変われたことに心の底から驚きました。

 

 自身の体験を通し『これらを伝えることで、誰かの助けになるはず!』と思い、その看護師さんが開講する教室で、体の基礎や体質改善方法を教わった事が、現在の仕事に至った経緯でもあります。

 

最初は親しい友人に伝えていました。次第に『生理の状態が好転しました!』、『加藤さん、妊娠したよ!』と、ポジティブな話が届きました。『自分が学んだことや経験が喜んでもらえるんだな』と、やりがいを感じ始めました。

 

 

Step By Step

――ご自身の学びが誰かの助けになる。大きな喜びですよね。最初はまわりのご友人から伝えていったとのことでしたが、その後はどのように展開されていったのでしょうか?

 

加藤 2015年に個人事業主としてスタートし、当時は子ども達が幼稚園に通っていたこともあり、レンタルスペースを借りて毎月2回セミナーを開催。女性の体や生理の話を毎月、5名様ぐらいにお話しをさせて頂きました。

 

 『お会いせずとも、自分でできることはあるはず!』と、アメブロもスタートし、毎日1記事は必ず投稿すると決めていました。

 

 転機が訪れたのは40歳のとき。より、深い知識や見聞を広げたいと思っていた最中、女性ホルモンを整える施術をしているというセラピストさんが私のセミナーに参加してくださいました。

 

 彼女のサロンのお話を聞かせて頂き、自分の行っている仕事とリンクする内容だなと思い、その方が提供している施術が学べる”女性ホルモンバランスプランナー協会”で、女性ホルモンに特化した施術を学ばせて頂きました。

 

『CallaLily(カラーリリー)』開業

――2024年6月現在でアメブロの投稿数は2,500件以上…!継続力がすごいです。そして、『CallaLily(カラーリリー)』を開業されました!

 

加藤 セミナー開催から、3年が経過した頃。既に受講生が約600名ほどいらっしゃいました。

 

 この頃から子宮や卵巣にアプローチする施術を始めたのですが、気づけばインターネットで『大宮 不妊治療』と検索すると、アメブロが上位で表示されるように。

 

 なにより、お客様同士の間で『生理の加藤さん』という名前で知れ渡るなど、口コミがさいたま市内で徐々に広がっていきました。

 

 その結果、HPやSNSを使わずとも開業から1年経った頃には、毎月予約が取れない状況となりました。

 

当時は駅から車で10分程度の自宅でサロンを行っていたんですが、大阪や福島といった遠方の方もいらっしゃるので、より駅チカでという想いから2019年に現在のところにサロンをOPENしました。

 

悩みの見える化

――今までのお話を聞くと、愚直な行動も実り、順風満帆の右肩上がりと感じます。苦悩や失敗はあったのでしょうか?

 

加藤 立ち上げ初期の頃は失敗もありましたね…。 

 

 私自身、妊活の経験がないので涙を流すお客様に対して、どういう言葉をかけたら良いのかわからない。だからと言って、一緒に泣くわけにもいきません。

 

 ただ、継続して通っていただくと徐々に笑顔が増えて、プライベートのお話も頂くなど、心の底にある悩みが透明化される実感を覚えました。

 

 『現在のいるステージを見える化して、具体的なアクションをお伝えしていこう!』と、自分なりのスタイルが生まれました。

 

 6年経った今も、緩やかに今の状況をお客様と私で認識していく。そこから施術が始まるようにしております。

 

コンプレックス

――自ら学んでいく姿勢や、局面を乗り越える姿勢を伺うと、加藤さんの”悩み”に対する解釈に”ポジティブさ”を感じます!体質改善もそうですが、加藤さんの内面もお客様を引き付ける魅力のひとつにもなっていそうですね。

 

加藤 セラピストデビューしたのは40歳。業界的には遅い年齢なので、コンプレックスがあったのは間違いないです。

 

 ただ、悩みは課題だと常に思っています。『40歳からのスタート。どう展開していこうか?』と、ひとつひとつの自分の課題を見つけ解決に動きました。

 

 お客様の数と、質を上げていくていくこと。この双方でしか、信頼は積みあがっていきません。あっ、このセラピスト知識ないんだな』と思われれば、お客様は離れてしまいます。

 

 集客のためのブログ投稿と、日々の勉強。将来の理想を抱くことよりも、常に目の前のお客様の需要を見ていたのかもしれません。

 

自宅で行っていた時は、お客様も子供を連れていらっしゃっていました。私の子供と遊んだり、とても親しい関係を築くことができました。現在も家族ぐるみでお付き合いさせて頂いている方もいらっしゃいます。

 

幸せは1つじゃない

――”妊活を目的としたお客様”と言っても、いろんな悩みを抱えていらっしゃると思います。その中で加藤さんが提供する価値とはなんでしょうか?

 

加藤 年齢的な観点で妊娠が難しい方もいらっしゃいます。仮にその願いが叶わったかったとしても、体調改善や、生理が快適になるなどといった、QOL(クオリティー・オブ・ライフ)向上のお手伝いができると考えています。

 

 赤ちゃんを授かれなくても養子縁組の選択をする方もいらっしゃいました。『幸せってひとつじゃないんだな』ということをお客様を通じて噛みしめました。

 

 ご自分で幸せの道を探していく。そのお手伝いが私の役割。「いい人生になりました」と、幸せを見つけられるきっかけのサロンになれれば嬉しいです。

 

 

命のバトンを次の方へ

――加藤さんがサロンにいらした方々の選択と決断を伝えることで、お客様の励みにもなりますよね。

 

加藤 そうだと思うんですよね。なにより、6年間この仕事をして一番の驚きはお客様同士の繋がりが生まれたことです。

 

 流産してしまった方、死産してしまった方。「お子さんとのお別れ」と、一言で表現できます。

 

 しかし、そこには様々なパターンがあり、悲痛な想いがあります。

 

 そうした方たちが、『同じような経験をされた方がいたら、私お話しますので加藤さんいつでもお繋ぎ下さいね』と、お客様同士で悩みを話し合ったり、サポートしてくださるようになったんです。

 

 そして、長く不妊で悩み、妊娠された方も同じように不妊で悩む方に、ご自身の経験ややってきたことをお伝えして頂くようにも。

 

 この6年間の歩みは決して”私”が中心にいたわけではありません。

 

 これまでの4,000名様のお客様たちが悩み、時に喜び、傷ついた心が次の人に繋いできた歴史がお店を継続させて頂いているんです。

 

 どこまでいっても、人とまじめに関わることが大事だと感じています。

 

女性ホルモンバランスプランナー協会に所属。今後、セラピストになられる方たちに女性ホルモンの理論を伝えるお仕事もされています。『私が苦労した分、相手に寄り添ったサポートをすることや、的確にその人の現状を伝えてあげてね。と伝えています』

 

弟との別れ、家族への想い

――時代に関わらず、人としてどう在るべきかは大事ですよね。とはいえ、こうしておひとりのお客様に対する真摯な向き合い方をされながら、家庭も両立させるのは大変かと思います。

 

加藤 先ほど、弟がふたりいると言ったのですが、年子の弟を幼少期に亡くしているんですね。それを機に母は、子どもの病気や体調にとても気に掛けるようになりました。

 

 我が子をなにより大切にする母の姿を間近で見て育ったこともあり、私自身も、子どもの健康を第一に考え、家族を一番大切に思っています。

 

 そういうことからも『サロンを大きくしたい!』と、表立ってアクションしていくよりも、これまでと変わらず個々のお客様と信頼を築き、丁寧なサポートをさせて頂くのが私の性分かも知れません。

 

さいご

――ご家族とお客様に真摯に向き合う姿がとても素敵です。さいごに今後の展望を教えてください!

 

加藤 これ以上、妊活で苦しむ人が増えてほしくないんです。赤ちゃんができなくて悲しむ方たちの涙をたくさん見てきました。

 

 そうならないために20代の子たちに、生活習慣の大切さや生理痛を起こさないために必要なことなどを伝えていきたいです。

 

 生活習慣の見直しや、体の緊張を取り除く施術をしたり。いずれ赤ちゃんを『授かりたい』と、思ったときに、自然に命が宿る体づくりのお手伝いをさせて頂くのが私の理想です。

 

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carpediem運営者:高橋郁弥(Takahashi Fumiya)

2018年よりインタビュー記事をスタート。

個人事業主の方を中心に、なぜその仕事を始めたのか。

どんな想いを込めているのかをインタビューさせて頂いています。

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