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『あなたの人生を記録する』

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日々のモヤモヤをお菓子づくりで気分一新 『yurika-かくれお菓子‐』前田しずか

 

 夢だった保育の世界で働き、結婚と出産を迎える。ごく一般的な女性の生き方とも言えますが、そこに人間ドラマがある。

 

 外へ一歩踏み出して体験したアイシングクッキー。束の間の休息が人生を変えるきっかけになったのは、埼玉県入間市で『yurika-かくれお菓子‐』を営む前田しずかさん。

 

 開業から2年目に突入し、ママが自分時間を楽しめる場所としてお菓子教室を開講しています。

 

 ひとりの女性が仕事、子育て、開業を経て変化していく物語をお届けします――。

 

将来の夢

――本日はよろしくお願い致します!現在はお菓子教室を開講中の前田さん。どんな幼少期をお過ごしでしたか?

 

前田 『これ!』というものを見つけたら探求熱心タイプ。私は記憶にないのですが、時にはアリの巣を1時間以上観察してた。なんていうエピソードがあります(笑)

 

 当時は、絵を描くことが好きで内気な性格。小学校高学年になる頃には、『幼稚園教諭になりたい』という夢を持ち、幼稚園で働き始めました。

 

 

 

【PROFILE】前田しずか。埼玉県入間市。2022年「yurika-かくれお菓子」を開業。甘酒・甜菜糖等、からだにやさしい食材を使用しお菓子教室を前田さんのご自宅や地域センターで開催。ご自身の産後体験を元に、サービスを開始。リクエストに応じて、土日や長期休みに子どもと一緒にできるワークショップも行う。オンライン対応可。3人の男の子を育てる母。

 

違う世界を見たい

――目標にしていた仕事に就かれました!実際に働いてみていかがでしたか?

 

前田 最初は『子どもと一緒に遊べて楽しい!』という意識でした。ですが、デスクワークや、約30人の子どもをひとりで見守るといった、責任感も芽生えていきました。

 

 4年が経過した頃かな?ふと、『学生時代から保育一本。他の世界も見てみたいな』と思うようになりました。

 

 それまでアルバイト経験がなかったので、飲食店で働いてみたくて退職を選択。

 

 環境を変えて思ったのは『やっぱり子どもが好き!』ということでした。

 

 『今度はより、深い子どもとのやりとりを持ちたい』と考え、保育園に転職しました。

 

保育のやりがい

――新たな経験をすることで、考えもクリアになりますよね。新たな気持ちで保育現場に戻りました。それまでとは違った喜びはありましたか?

 

前田 子どもの成長していく姿に幸せを感じると共に、約30人の児童を3人の先生で見守れ、手厚い配慮ができるようになりました。

 

 以前にも増して、子どもや親御さんへの心配りができ、先生の保育観とも一致してとても充実していました。

 

 その傍らで、入間市の子育て支援センターでも働いていました。

 

 その後、私自身も結婚し長男が誕生。育児に専念するために退職をしました。

 

親子で参加できるワークショップ。

行き場のない気持ち

――現在は3人の男の子を育てていらっしゃいます。ご自身のお子様の子育てはいかがですか?

 

前田 毎日成長していく子ども達に驚きと幸せを感じています。ですが、心身共に大変ですよね…(笑)

 

 特に3人目が誕生した頃から、鬱状態に陥りました。旦那は仕事で夜までひとり。

 

 ひとりの面倒を見ていれば、他の子が泣いていたり。食事の準備に、洗濯物の片づけ。次第に家にいることさえも辛くなっていきました。

 

 この行き場のない気持ちを支援センターなどで相談しに行っても、時間に追われてしまい最後まで話せなかったり…。

 

「誕生日クッキー」お子様のバースデーケーキに彩りを添えてみてはいかがでしょうか?

 

えっ!?趣味探し…?

――辛い精神状況だったと思います…。

 

前田 やっとの思いで相談した際に、提案して頂いたのが”趣味探し”でした。

 

 ”趣味”というワードさえ頭になかった当時。夫に子どもを預けることや、自分のためにお金を使うことさえも躊躇っていました。

 

 ただ、月に数回の外出。『子供を預けることを頼んでみてもいいのかな?』って。思い切って相談してみると、息詰まった私を理解してくれていたのか快く『行ってきていいよ!』と、言ってくれました。

 

ホッと一息つけた

――そのときに選ばれたのがアイシングクッキーだったんですね!体験されてみていかがでしたか?

 

前田 アイシングクッキー教室を訪れて、束の間の休息。

 

 絵を描く楽しさ、甘い物を食べるのが好きだった幼少期を思い出し、とっても心を救われました。

 

 安らぎと同時に思ったのは、ママたちのことでした。支援センターで働いていた時に、旦那さんや子ども達に気を遣って疲弊しているママたちのご相談を聞いていました。

 

 いつの間にか私自身がそういう状況になっていた事に、そのとき気付きました。

 

 『毎日、一生懸命働くママの気持ちに寄り添いたいな』と思い、少しづつ開業する気持ちが芽生え始めました。

 

七夕ワークショップ。リクエストに応じて、季節を感じられるメニューをご用意いたします。

 

ママたちへの想い

――2022年に『yurika-かくれお菓子‐をオープン。2年目が経過しました。これまでどういう歩みでしたか?

 

前田 まずは私の現状や仕事への想い。自作のお菓子を撮ってインスタに投稿することから始めました。

 

 以前から興味を持っていた、『mamatano』さんに伺い、そこで初めてアイシングクッキーのワークショップを開催させて頂きました。

 

 ご参加いただいたママたちの顔がパァッと明るくなっていく。その姿を見て『ママたちに、ホッと出来る自分時間を提供したい!』と改めて、自分の想いを再確認するキッカケにもなりました。

 

 また、入間市内の支援センターに足を運んでチラシを配布するなどしてきました。

 

 現在は私の自宅と地域センターのスペースを借りて、ママお一人はもちろん、子連れでも参加できるお菓子教室を行っています。(※お子様連れの場合は要相談。メニューによっては、長時間集中する物もあるため)

 

 

”無”になってほしい

――現在はオンラインレッスンもされるなど、あらゆるアクションをされてきました!

お母さん方からはどんなご感想が届いていますか?

 

前田 『夢中になれる!、息抜きができた!』と言ってくださっています。

 

 私は、お客様のご自宅以外での教室にこだわっています。それは、お母さん方に”無”になってほしいんです。

 

 洗濯物や食器があれば気にかけてしまうのがママの心情。日々の業務が視界に入らないだけでも、息抜きになります。

 

 また、アイシングクッキーはとても集中するので、必然的に”無”になるのでリフレッシュにもなる。

 

 もちろん、毎日忙しいお母さん。外出時間を作れない方もいらっしゃいますので、オンラインレッスンも行っております。

 

 環境を整え、お菓子作りで脳をクリアに。そんな空間作りを大事にしています。

 

堅いクリームで縁取っていく。この工程が特に集中!

 

我が子に仕事姿を見せられる

――個人事業主という前職とは180°違った働き方の現在。内面もガラッと変わったのではないでしょうか?

 

前田 そうですね。そうした内面の変化も含めて楽しめています。

 

 最近、長男が授業の一環で、家族新聞を書いてきました。そこには『僕のお母さんはお菓子教室をやっていて――』とありました。子ども達に、母親の仕事姿を見せられる事にやりがいも感じています。

 

 どちらかと言えばネガティブな性格だった私。今ではご自身の軸を持って働かれている方たちと繋がることで、ポジティブな性格になってきたと思います

 

ネガティブだった幼少期

――お子さんからの言葉もあると励みになりますよね。先ほど『ネガティブな性格』と仰っていましたが、こうして振り返るとなぜだと思いますか?

 

前田 そうですね…。子供の頃から勉強が苦手だった私は、『全てなにもできない…』と、思い込んでいました。

 

  母からの娘は『こうあってほしい』に応えたい。だけど、期待に応えられない学生時代でした。

 

 私は20代の時に母を亡くしたのですが、母の病気が発覚した年齢に近づいたときに、『このままで人生良いのかな?』って思ったんですよね。

 

 たしかに、育児に疲れてしまった事実はありますが、全てが削ぎ落されて思い返した自分の過去。そこをしっかりと見つめ直したことが、今の自分になれたきっかけになったのかも知れません。

 

「美スイーツ」として、健康と美容に意識した食べる美容スイーツ。写真:左「米粉バスクチーズケーキ」。写真右:甘酒は『疲労回復効果』もあります!

 

さいご

――ご自身の過去も前向きに受け入れ、今を生きていらっしゃいます。今後はどういう展開を考えているのでしょうか?

 

前田 教室業の継続はもちろんですが、菓子製造を自宅で行いたいです。

 

 また、手軽にできるよう、ボウル一個で作れるお菓子作りを始めようと思います。

 

 それ以外の『いつまでにこれをやる』というのは設けず、そのときの自分の気持ちを大事にして決めたいと思っています。

 

 どこか数年前の自分に向けて仕事をしている気がしています。『子育てに一杯一杯にならずに、少し息抜きしても良いんじゃない?』と、優しく諭すような。

 

 ママを笑顔に、その顔を見た子どもも笑顔に。そうした安らぎ時間を提供できたら嬉しいです!

 

 

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carpediem運営者:高橋郁弥(Takahashi Fumiya)

2018年よりインタビュー記事をスタート。

個人事業主の方を中心に、なぜその仕事を始めたのか。

どんな想いを込めているのかをインタビューさせて頂いています。

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