Carpediem

『私も頑張ろう』を届けたい

パデル日本ランキング1位の選手が目指す世界 富田一輝(26)


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 スペイン、アルゼンチンなどでは、テニスプレーヤーよりも人口数が多い”パデル”。テニスやスカッシュと似たようなルールだが、コートは360度フェンスに囲まれている。消費カロリーは数多あるスポーツの中で1位とも言われる激しいスポーツ。

 

  日本では”マイナースポーツ”と位置付けられているが、富田一輝(とみたかずき)さんは”日本初の海外を拠点”にプレーする選手。現在はコロナの影響により、日本でアルバイトをしながら、帰国できる日を待ちわびている。

 

 2020年2月に全日本パデル選手権を優勝するも、自分の居場所に疑問を持ち、試合から遠ざかった半年間。再起をかけて再び挑む日本チャンピオンの心境を伺いました。

 

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写真引用:https://kunijima.com/kunijima/course/about-padel/

 

――僕と同じ東京国際大学出身者の富田さん!小4から大学卒業までテニスをされていたそうですね?

 

富田 両親が元々テニスをやっていて。『やってみたらどうた?』と誘われて、それまで習っていたサッカーを辞めてすんなりとパデルを始めました(笑)


 小・中学生の頃は放課後テニスクラブに通っていました。高校からは部活に入り、インターハイに出場。大学も同様にテニス部でした。ニューヨークやフロリダ、テニス留学経験も数回あるなど、学生時代はテニスメインの生活でした。

 

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【PROFILE】

冨田一輝 埼玉県出身/1996年2月生まれ

 埼玉大学教育学部附属小学校・中学校→浦和学院高等学校→東京国際大学・商学部→日立物流ファインネクスト(株)→日本人初のパデル選手として海外拠点(スペイン)を置いてプレー→2020年3月全日本パデル選手権優勝


――大学卒業後は就職を選択。それと同時にパデルを始めたとお聞きしています!

 

富田 就職して間もなく、友人に『パデルやってみないか?』と誘われました。最初は『テニスに似てるし、これぐらいできるだろ!』と思っていましたが、パデル特有のショットが難しくて。

 

 趣味で始めましたが、半年後にはトッププレイヤーの方とタッグを組んでいました。様々な大会に出場しては優勝を重ね、日本ランキング1位。全日本選手権では3位を納めました(笑)

 

 その頃になると徐々に本気になる自分に気付きました。徐々に『知らない世界を肌で感じたい』、『YouTubeで見てたトッププレイヤーがいる世界に飛び込みたい』と思うようになりました。

 

 自分の可能性を信じ、パデルが1番盛んなスペインを拠点に活動しようと動き始めました。

 

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写真:富田さん提供

 

――2019年11月にスペイン・バレンシアに拠点を置きました。パデル本場での挑戦を決意されましたが、その経緯はどういったものですか?

 

富田 結論から言うとスポンサーをみつけて行きました。

 

 「お金も無い。現地で仕事も欲しい。整った練習環境。」そんな条件で色々調べるも見つかるわけもなく(笑)

 

 最終的にSNSで助けを求めたんですよ。

 

 
 
 
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 棒読みなんですけど、『私は夢がありますが、練習環境もない、誰か助けてくれ』と訴えました(笑)そしたら、今僕が着用している「orven(オルベン)」からオファーが届きました。

 

 社長自ら日本に来日して、『君の夢を応援させてくれ』と仰って頂いて。航空券の手配や仕事も様子を見てパックアップしてくださるとも。

 

 現地ではメーカーの社長さんの家で寝泊まりをし、練習や試合を行う充実した日々でした。

 

 

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――3か月間滞在し、全日本大会のため、2020年2月に日本に帰国。結果から言うと優勝を収ました!

 

富田 めちゃめちゃプレッシャーがありましたね…。パデルを海外拠点でプレーしているのが僕だけ。つまり、結果を残さなければ、『日本で仕事しながらやればいいじゃん』と評されてしまいますから。

 

 この優勝によって、常に人に見られる意識。人様に夢を与える存在でいようと思いました。振る舞いや練習態度も良い変化に繋がりました。

 

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写真:富田さん提供
 

――ところが、コロナの影響により帰国困難な状況に。日本に滞在して1年が経過しましたが、葛藤の日々ではないでしょうか?

 

富田 今は週4日、パデル関係のアルバイトをして事務作業やイベントを行っております。他、3日はトレーニング。頂いたお給料からコート代や交通費にあてています。今はトレーナーさんもつけられない状況。いかに自分を律するかが問われています。

 

 正直、帰国後『なんで俺は日本にいるんだ…』と思い悩み、試合に出場することを止めました。その反面、出場しない自分に対し『俺は逃げてる』と責めました。

 

 環境を言い訳にしてしまうのですが、世界で活躍するプレーヤーの多くが小さな頃からメンタル、言語、国ごとの慣習を学んでいると思うんですね。加えて、日本での練習環境も整っている。

 

 僕はその素地が作れていなかったので、この1年はそれまで味わったことのない苦しみがありました。

 

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写真:富田さん提供

 

――試合に遠ざかり、言わば落ちた精神状態でしたが、今年3月に開催される全日本パデル選手権大会に出場をされます。どのようにして立ち直ったのでしょうか?

 

富田 人との出会いや、応援してくれる方々の存在が大きかったです。

 

 国内外で活躍するアスリートにお会いしたり、友人に今抱えている悩みを相談する中でチャレンジしようと思えました。

 

 あとは後に戻れないようにしようと。スポンサーを獲得した時同様、なんも決まってないけど、とりあえず発信しちゃおうみたいな(笑)でも、案外効果あるんですよね。言葉に出すと行動に影響が出るのは実体験として感じています。

 

  『コロナはいつ終わるか分からない。けれど、僕の人生には終わりがある』これも誰かから受けた言葉。

 

 出場するからには優勝を目指します。コロナに負けるような挑戦ではないです。

 

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――これまでは”安定”を求める人生選択をなさっていたと思います。今の挑戦はそれまでには無い、”覚悟”が必要だったのでは?

 

富田 自分から『これをやりたい。だから挑戦する』そんな人生は今回が初めてです。振り返ると、両親から『テニスをやってみたらどうだ?』、『海外留学行ってみたらどうだ?』と促された選択、新卒で就職したのも安定を考えて。

 

 まだ道半ばですが、前例のない挑戦に飛び込むには、ひとり部屋で試行錯誤しても到底チャレンジできませんでした。

 

 挑戦において、人に会って話す。といのは、非常に大事です。

 

 実際に応援してくれる人がいる。興味を持ってくれる人がいる。このことを知れるのは次なる一歩に繋がる。そして、 誰と一緒にゴールを目指すのか。これも目標への実現をグッと手繰り寄せてくれました。

 

  元々僕は人見知りです。イベントに参加するのも、最初は友達と行ってました。でも、数を重ねるうちにひとりで行けるようになったり。気づけば、自ら動画を撮影し、SNSで発信している。

 

 パデルが個人の成長も導いてもくれました。

 

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写真:富田さん提供 

 

――直近で言うと今月開催される全日本の優勝が目標になるかと思います。最後に中長期的な展望はありますか?

 

富田 パデルはオリンピック競技になる。と言われていまして、10年後に日本代表として戦いです。加えて、世界大会に出場し続けること。

 

 個人的にはヒーローで在り続けたいですね…(笑)。よく、小さな頃テレビで活躍するスポーツ選手から無償の感動を貰っていました。「うっわぁぁ、かっけぇぇ…!」みたいな。そんな感動や喜びを大人や子どもたちにお届けできたらと思います。

 

  マイナースポーツと言われる業界において、僕が活躍すれば波及効果があるかも知れません。そのためにも常に先駆者でありたいですね。

 

  まだ、スペインに戻る目途は立ってないですが、日本にいても限界があります。自分の挑戦のために絶対に戻ります!

 

(取材・写真:高橋郁弥)

(文・構成:高橋郁弥、富田一輝)

 

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