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『私も頑張ろう』を届けたい

『自分は何をしたいのか』どん底の渦中に見つけた農家という仕事ーーー「” かっこいい父ちゃん”でありたいんです」 漢那宗貴(36) かんな農園

 

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農家×インターネット

 沖縄マンゴーを親子二人三脚で生産から販売まで行っている、沖縄県は糸満市にある『かんな農園』。主に生産はお父様、経営面は漢那宗貴(かんなむねたか)さんが担っている。

 大学卒業後はシステムエンジニアを勤め、その後公務員へと転職。しかし、一転して農業の世界へ。

 

 「今は父の仕事を手伝えとても充実感があります。奥さんへの感謝はもちろん、娘がふたりいるんですが、『かっこいい父ちゃん』でありたいですね。そして、周囲の人に良い影響力を拡散しまくりたい。極論を言えば…人気者でありたいんです!(笑)

 

  ”安定した職”と呼び声高い公務員だが、なぜ農家に転身したのか。

 

 ECが農家や沖縄県にもたらす大きな可能性とはーーー。

 

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クラスの盛り上げ隊長

 小学校時代は”とにかく明るいわんぱく少年”。読者のクラスにも1人はいた事であろう、そんな男の子を想像してほしい。

 

 「授業中は発表に積極的でした。答えが分かっていても、笑わせるために変な解答しては、スベってみたり(笑)。面白そう!と、思ったことは表現していましたね(笑)」

 

仕事に追われる毎日

 バスケットボールに青春を注ぎ、県内の高校に進学し、大学では数学を専攻。そこで奥様と知り合い数年後にご結婚。

 大学卒業後はシステムエンジニアとして就職。しかし、連日連夜の残業に不定休。家族とより密な時間を過ごしたいと4年間勤め公務員に転職。

 

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マンゴー以外にも、ゴーヤ、アテモヤも生産している

 

安定の道に進んだ筈が…

 沖縄県もまた、公務員は安泰と人気が高い職種。漢那さんのご家庭もまた、お父様をはじめ、お姉様も公務員。自身もその安泰というレールに乗れたかに見えた。

 

 「1年浪人して公務員になれたのですが、なにかが自分に合わなかったんでしょうね…。次第に睡眠障害、食欲不振が始まりました。トータル1年半の公務員生活なんですけど、1年間は休んでいました

 

 一家の大黒柱が仕事に行けない。

 そして、脳内を埋め尽くす「こんなはずじゃなかった」という言葉。

 

 「そのときに、自分を見つめるわけですよ。『本当にやりたいことはなんだろう』と。この姿を娘ふたりが見て、果たして『大人は面白い』と思えるのかって」

 

子どもが自分を見た時に

 幼少期身近にいる大人は両親。その近さ故に、良い面も悪い面も見えてしまう。特に、大人が醸し出す不穏な空気を察知しやすい時期でもある。

 

 「父は仕事で帰りが遅く、母とよく喧嘩をするんです。部屋中、暗い雰囲気なわけですよ。すると、『大人になりたくない、結婚もしたくない』と思うようになっていました。ただ、もし自分が心の底から愛した人との間に子供が生まれた時は、『自分が楽しんでいる姿を子どもたちには必ず見せたい!』と子供の頃思ったんです」

 

 そう誓ったはずの自分が全く違う人生を歩んでいる。


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父のために。という選択

 転機が訪れたのは、お父様が定年退職後に始めたマンゴー農園の手伝いをした時だった。

 土の匂いや、木々が揺れる音。なにより、畑でお父様との時間を取り戻せることが楽しかった。

 

 「農作業をしながら親子の時間を取り戻すというか…。そして、1日外で汗を流し、仕事が終わったら娘たちを迎えに行く。時間に縛られず自由で良いなと。『農業がしたい!』というよりも、『父親の仕事を手伝いたい』とその時思いました」

 

 そうして、32歳の時に親子タッグを組んでの、『かんな農園』が誕生した。 

  

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「父がこの先20年、30年と続けられる土台を僕が作りたいんです」

 

インターネットが持つ可能性

 漢那さんの住む糸満市だけで、約100軒のマンゴー農家が存在。
 各農家が高品質な商品をマーケット等に卸すも、相次ぐ値下げ競争。それでも売れない場合は近隣の方々に配るも余ってしまう。そういったマンゴーは最終的に畑に廃棄する他ない。

 

 そんなマンゴーに新たな可能性をもたらしたのがインターネットだった。


 「SNSを活用して仕事内容や、自分自身のことなどを発信していました。その流れで、廃棄されるマンゴーの糖度を実際に測定した様子をアップしたり。すると県内外問わず、リアクションが生まれ、売り上げが伸びたんです。インターネットの可能性を感じはじめました」

 

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めざましテレビにも出演


 

ゆいまーるの精神 

 より幅広い販売網を模索している中、ECサイトツクツクを導入。ここから急速にかんな農園、ひいては漢那さん自身が大きく変化した。

 

 「沖縄県には、”ゆいまーる”という言葉があります。それは、人と人との繋がりを強く持つ県民性が現れた言葉なんですが、それをECの世界でも感じられました。そしてこのツクツクが農家のみならず、沖縄県にとってもひとつの可能性になるなと」

 

 経営面に関しても事業者同士が助け合えるツクツク。実際に都内のケーキ屋さんと沖縄県内のパッションフルーツ農家さんとの間で物流が生まれている。

  
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リアルを繋げる

 インターネットと言うとどこか冷たい印象を受けるが、現に私が漢那さんと出会えたのも、インターネットがあったからこそ。実際に会って何かが生まれるのがメリットのひとつでもある。

 

 「僕自身がかんな農園で培ったノウハウと、新しい時代のインターネット。それらを掛け合わせて、農家だけじゃなく飲食店や生産者の方々のハブになれたらと思います。低所得、若手不足による経営面でのフォロー、そして物価の高い沖縄県にとってツクツクは確実に地域貢献になります」

 

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子どもの頃に夢見た大人へ

 どん底の時間の先に見つけた農家という仕事。そして、インターネットが繋いだ新しい事業。それらがもたらしたのは、子供時代に描いた理想の大人像だった。


 「大人になった今も、”人気者”になりたいわけですよ。(笑)人様に良い影響を与えたいんです。当時は無邪気に、そして純粋に周りを楽しませる少年時代。途中、回り道も余りましたが、あの時に、必死になって考えた時間が今に繋がっているんだなと思います」

 

 そんな今を支えているのは共に農家として働くお父様や家族。互いに手を組んで事業者と共に前進できる仲間の存在が大きい。

 

 「ひとりでいるとブレる瞬間も、仲間がいることで軌道修正ができる。その中でも、奥さんの存在はとても大きいんです。公務員になれたのも、今こうして畑をやれるのも。娘に対しても『お父ちゃん大人って面白いね!社会って楽しいね!』と、想ってもらえることが一番なので。それを共に支えてくれる奥さんにはとても感謝しています」


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 さいごー喜ぶものを作り続ける

 「いずれは二代目を継ぐんですか?」と尋ねると、それはまだわからないそうだ。ただ、ひとつあるのは誰かを喜ばせる事だった。

 「僕がやっている最大の理由はお父さんをできる限り長く、そして楽しく働いてもらうことです。なので、農家を継ぐかはわかりません。例えばですけど、農地を地元民や観光客のご家族が来て遊ぶ大きな公園にしちゃうとか…(笑)。僕はそういった、誰かが喜ぶものを作り続けたいです!」 

 

***かんな農園***

 

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