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『私も頑張ろう』を届けたい

自分が命ある”人間”ということを再認識してほしいんです―――伝えたいのは”心意気”や”豊かさ” 西山理恵子(48) Atelier Carnerian/フラワーデザイナー

 

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人の体と植物の共生をめざして 

 生徒を迎えてのレッスンや、お店の装飾も施す、フラワーデザイナー西山理恵子(にしやまりえこ)さん。2009年にAteler Carnerian(アトリエ・カーネリアン)を設立し10年が経過。2018年末に沖縄県に移住し、自然溢れる土地でお仕事をなさっている。

 

 「お花や植物に触れることで、『自分も生き物であることを思い出してね』と、レッスンでお伝えしています。もちろん、空間にお花を飾らせて頂くこともありますが、その時も、お花からなにかを感じ取ってほしいという想いがあります。心と体をコーディネートするのが、今のお仕事です」 

 

 3人のお子さんを育て上げ、現在は2人のお孫さんも誕生。そして、次第に芽生え始めた自然環境への想い――。西山さんが考える、人の体と植物の共生とは。

 

お花のある生活 

 お母様もご自宅で華道を教えており、お庭には常に季節の花が咲いてた。

 

 「『月に1,2回はお花を生けなさい』。と、母から言われて育ちました。お花の生けこみを見たり、展覧会に付いて行ったり。自然とお花の名前や、植物の生育の成り立ちも自分の中にスッと入っていて。行くべくしてこの世界に入ったかなって、今となっては思います」

 

  その当時から、『命ある花を手折る』という意識があったかも知れないと当時を振り返った。

 

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(写真:以下、西山さんのFacebookページより引用)

 

中国に魅せられて

 幼少期からお花に触れる環境で育った西山さん。一転して、高校卒業後は中国に留学。一体、なぜだったのだろうか。

 

 「父の趣味は骨董で、とにかく歴史好き。父との話はいつも”歴女”みたいな(笑)。シルクロード、ラストエンペラー。そういうのに物凄くロマンを感じちゃって。次第に中国を生で見たいと思ったんですよね。風土、暮らし、文化。それらに触れたいと」


 語学留学生活がスタート。その後、同じ留学派遣団にいた男性と恋に落ち、19歳のときにご結婚。


 「その後、子供が3人産まれました。いわゆる海外駐在員妻の専業主婦でした。子育てをしながら、地域のボランティア活動に従事して、手芸品のバザーやイベント企画をしていました」

  

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ギフトからギフトへ

 上海で友人からスカウトされ、ホームサロンでのアクセサリーと雑貨の販売、ハンドメイド作品のプロモートの仕事をスタート。

 その後、パートナーである友人の帰国に際して、「顧客と商材を引き継いでひとりで続けますか?」と、ターニングポイントが訪れる。

 答えはイエスだった。

 

 「ホームサロンのスタイルから自分の場所として起業し、雑貨屋Carnerianをスタートしました。人様からチャンスを頂けるってすごい恵まれたことですよね」

 

 競争激しい中国社会。どれだけ追い求めてもお店が手に入らない。例え、事業が開始しても道半ばで撤退。そんな姿を幾多も見てきた。


 「これはギフトなんですね。なので、『与えてもらったのは誰かに分けていく。それが健全だな』と、思ったのを今も鮮明に覚えています」


 広い店内の空き部屋を文化教室として貸し出し交流のある作家のワークショップを展開。さらには、店内に自作の花を飾っていたことをきっかけに、多方面から仕事が舞い込むようになった。

 

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「中国という国の成長と洗練されていく過程と一緒に私も育てて貰ったと思って感謝しています」

 

”知識”や”固定観念”ではないものを 

 西山さんのお花や作品が反響を得たころ、「フラワーアレンジのレッスンをしてほしい」と、声がかかる。

 

しかし、お花を人に教えるのには抵抗があった。 

 

 「それまでは自分の知識や、スキルの範囲内で良かったわけですよね。ただ、生徒を持ち教える立場になると、私自身の確信力も重要になります。ただ、私はそれまで自由にやってきたので、『技術を習いたい人はほかのところに行ってね』と、最初にお伝えしました。レッスンをするのなら、”知識”や”固定化した概念”を教えたいわけではなかったので。『私の伝えたいことを伝えますね』って」


 2009年にAtelier Canerianを立ち上げ。10年が経過。現在も、生徒さんへのレッスンや企業の依頼を請け負っている。

 

 「レッスンで教え始めたのをきっかけに、本格的にヨーロピアンスタイルを取り入れたオリジナルのフラワーデザインを創り始めました。たまに上海に戻るんですが、その時も『1日レッスンします!』と、お伝えすると10数名程集まってくれるんですよ。なにかが、私を求めてくれているんだと感じられ、とても嬉しいです」

 

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旬な命を摘む

 特にレッスンでこだわっているのは、その季節のお花を扱うこと。

 旬な食べ物が美味しいのは繁殖期だからこそ。それを取り入れることで命が体内に宿る。それは、土に生きる植物にも言えることだ。


 「命の息吹を室内でも、お花を通して感じてほしいです。茶室でその季節のお花を使うのもそうなんですよね。その季節や今を生きていることを感じながらお茶を頂く。それを身の回りに置くことで目に見えない内側が活性化する。『HPがあがる』とも言えるかな?(笑)」  

 

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お花を持った手の”行方” 

 お花を生ける。という行為は、自分の心の在り方と言える。どの位置にどんな色の花を添えるのか。完成した作品には、その人の今が現れる。

 

 「心が整っているときはスムーズに作れることもあります。その一方で、迷いや悩みがあるときは、手が進まないんです。そんなときは、『残ってお話していきますか?』と、生徒さんにお訊ねします。なぜかと言うと、その時間がなんのためにあるかということを、心を落ち着かせて噛みしめてほしいからなんです」


 そうして出来上がった作品は、自身を華やがせ楽しませるワンアイテムへと昇華する。

 

 「そして、そこからその方の家族や周りの人への癒しの連鎖が始まると信じています。お花にお金をかける。生活必需品でないからこそ、一見すると無駄と思えるかも知れない。でも、そこに想いや尊さが凝縮されているじゃない?だからこそ、生けている時の自分と向き合って欲しい。私がお花を通して伝えたいのは、人の内側にある”心意気”や”豊かさ”なんです」


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外側にも想いを寄せて

 お花を通して、心意気や豊かさを伝える。その根底にあるのは、テーマである人の体と自然の共生

 自分も大きな自然環境の一部に属していることを感じ取ってほしい。そんな想いが込められている。


 「外にある木も生きているんです。例えば、『最近雨が少ないな』、『ほこりっぽいな』とか。決して口には出さないけど、植物も想っていることがある。そうやって、少しでも外にある物へ、意識や気持ちを重ね合わせることで、『自分も地球の重要な重鎮を担っている』と、思ってもらえる人が増えると嬉しいです」

  
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さいごー命の連鎖を伝える

 人と自然をより意識したのは、お孫さんの誕生が大きなきっかけだったそうだ。経済発展の末に深刻化する地球環境の悪化。沖縄は比較的自然豊かと言えるが、後世が目にする光景は様変わりしているかも知れない。

 

 「これから大きくなる子たちにこの環境が無くなってしまうのがすごく嫌なんです。だからこそ、自分の内側と外側への思いやりを持ってくれる人に育ってほしいなって。
でも、自分の心が余裕が無かったり、荒んでいたりすると目を向けられない。いきなり、私が部屋に引きこもっている人のドアを叩き、命や環境の尊さを話しても伝わらないわけです。でも、人の行為の連鎖でしか、物事は良い方向に繋がらない。だからこそ、私にできることは、お花を通して『自分も命ある人間』であることを少しでも感じていただく。――これが私のお花かな」


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***Atelier Carnerian***

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