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小学校からの同級生が話す、父親の会社を継ぐということ 岩木智也(26)電気工事士



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■私が人生で初めて顔面を殴った男

 小学校から高校までの学生時代を共に過ごし、今でも交流ある友人。一番の親友とも言える彼の顔を殴ったのは中学校2年生。今でこそ笑い話だが、当時はなにを勘違いしたのかと思う。彼はなにもしてないにも関わらず、特に大きな理由も無く殴ってしまった。そんな彼とは高校の学科も部活も同じで、26歳になった今も仲が良い。人生はよくわからない。

 今更、仕事に関してインタビューするのも恥ずかしかったが、私と違い高校卒業後、就職して、今も働いており、結婚をし、今年には子供も産まれる。彼の分岐点を感じ、私もインタビューを始めたので互いの再出発のような気がしたので、今回インタビューした。

 

■就職を決めたタイミング

 「全然面白いことないよ。」笑いながら言う彼。電気工事の仕事をしており、駅の改良工事がメインの仕事。設備を新しくし、電線を張り、ホームドアの設置、LEDの電球の交換など。工場や建造物の仕事も行う。彼は父親が営む会社に就職。従業員は6人。いわゆる後継ぎである。高校は地元の工業高校の電気科。自分で高校を決めた時点で、卒業後は父の会社に就職することを決めていた。

 

■仕事における自分の求める想像は父親

 今年で9年目、「最近は仕事が楽しくなってきた。現場にひとりで入るし、できることが増えた。電気工事士1種も取得し、電気の勉強も楽しくなってきた。」と語る。「自分一人でコツコツやってるのが好きだから性に合うなと思う。」と自分の性格と仕事を重ね合わせた。「高校時代は勉強をしていても理解できるまで考える。でも、理解するまでに時間がかかるから諦めていた。今は体験しているから勉強した時より理解が進む。」頭と体に刻むことが、本当の意味で知る事なのだろう。

 

■自分の求める想像が父親

 22歳の時に初めて父親から頭として任された仕事がある。約1年間、地方で住み込みで仕事をした。その経験が非常に重要だったという。仕事内容に関しては書けないが、国家事業の仕事で彼含め社員3人で行っていた。ある日、父親が現場の様子を見て、「ここ、もっとこうしたら良いんじゃないか?」と指摘を受けた。その時、「あっ、そうだな。悔しいな。と素直に思えた。」改めて父親のすごさを思い知った。「父親の仕事の技術は一生かかっても追いつかないな。」とも加えた。しかし、父親から任された仕事、父親の偉大さを改めて知り「この経験があったから責任をもって仕事ができるようになってきた。」と振り返る。 

 
■一番怖いのは焦っているのに、危機感を感じていない自分
 

 父親は現在64歳。 父親の会社を継ぐのか聞いてみると「まだまだ継げないし怖い。」と答えた。父親は「岩木さんになら任せられる。」と取引先から言われる程、人望が熱く、知識や技術もすごい。できる仕事が増えたからこそ、改めて継ぐ事の責任を感じているのかも知れない。自分だけではない周りの評価の意識も変わり、「親の会社だからかも知れないけど、この会社に依頼したらこんなことされるのか。と周りから思われたくない。」焦りがありつつも、真逆の自分もいる。「まだまだ、自分のやりたいことを優先してしまう。なんとかなんだろうと思っていても、後々取り返しがつかなくなるのはわかっているのに。」

 

■さいごーあなたにとって追い越せないと思う友人はいますか

 父親の跡を継ぐ彼の責任の重さは簡単には理解できない。自慢げに話すわけでも、ネガティブに話すわけでもなく、淡々と自分の心境、状況を踏まえ話してくれた。高校卒業後就職し、大学に行った私からすると到底真似できないな。と心底思った。2年前、彼の結婚式に出席した。私は高校の同級生として招待され、友人代表のスピーチを小学、中学時代の友達が行った。その時の言葉を思い出す。「智也は中学のグループの中で本当に尊敬できるし、男としてもかっこよく、追い越せない。」私含め、高校同級生の皆が言葉には出さなかったがそう感じた空気感が円卓に広まった。

 父親の職場関係の人望も厚いが、その血を受け継いだ彼に対する人望もすごぶる厚い。仕事は技術や知識も大事だが、彼ほどまわりから信頼される男は見かけない。今年には子供が生まれ父親になる。父親としての彼と、職人としての彼の今後が楽しみだ。